不正な資金流用と大企業病

Hagiyamaです。

少し前の話になりますが、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏が特別背任容疑で再逮捕されました。

後出しじゃんけんのようですが、私はゴーン氏が最初に逮捕された容疑からさらに別の容疑で逮捕されることを予測していました。

その理由は、日産の西川社長による記者会見で、「有価証券報告書虚偽記載」・「資産の不正流用」・「費用の不正支出」の3つの容疑と言っていたにもかかわらず、

一番最初の逮捕時は有報虚偽記載虚偽記載容疑のみだったため、「あれ?」と思ったものです。

いずれは他の2件についても立件されるだろうと、つまりは検察の武器として後に取っておいたのだろうと思ってました。


私は、日産自動車は大企業病に陥っていたのだと推測します。

大企業病とは、法律的または道徳的に許されないことをやっているにもかかわらず、「他のみんなもやっているから」「偉い人がやっても良いと言っているから」といって見過ごす症状のある組織のことです。

別名、「事なかれ主義」ともいます。

おかしい取引を素直におかしいと思える(または口に出して言える)ような信念のある従業員は、おそらくそういった組織を辞めていきます。

私が監査法人勤務時代にスタッフとして関与してたクライアントの方で、粉飾決算をしていたことを内部告発した人がいたのですが、やはり真っ先に辞めていきました(そのクライアントの顛末はここには書けないですが)。


会社の資金を多額に動かすことができるのは、社内では管理部門(経理部または財務部)だけです。

その資金が不正に使われており、管理部門がしなかったとすれば、帳簿外(経理・財務の管理外)となっている会社名義の預金口座があることになります。

社内に、”経理担当役員マター”の口座(経理担当役員のみが管理でき、それ以下の社員には閲覧できない口座)があったのかもしれません。

俗にいう裏金です(日産ではこの口座を”CEOリザーブ”と呼ばれていたようです)

その隠し口座を会社が管理部門に内緒で持つことは不可能に近いです。

管理部門内でも、隠し口座の存在や不正使用について知っている人(上層部)がいたということでしょう。

「事なかれ主義」に則り、見て見ぬふりをしていた可能性が高いと思います。

もし正義感で声を挙げたとすれば、冤罪により解雇され、今まで積み上げてきた実績が無になり家族が路用に迷う可能性もあります(完全に半沢直樹の世界です)


どんなに大きい企業であってもこういったことが起きるという事実は、今の社会が非常に不安定だということを指しているのかもしれません。