株式交換による子会社化

Hagiyamaです。

ここ最近、M&A(Merger and Acquisition:企業結合)が活発に行われているように感じます。

M&Aが活発に行われているということは、企業に投資資金が潤沢にあるということです。

経済学的にいうならば、「GDP = 消費C + 投資I + 政府支出G」のうち、「投資 I」の部分に該当します。

企業に投資資金が潤沢にあり内部留保せず活発に使われているということは、景気が良いということになります。

「景気良いとよく言われているのに給料ほとんど上がってる実感ない!」

という意見はよく聞かれますが、もし働き方改革の影響で働く時間が従来よりも短くなっているとすれば、時給(=給料÷働く時間)の観点からみれば実質的な給料は上がっているはずです。

街角景気を見るには、街中のアルバイト時給を見るのが一番だと思っています。

私は東京に住んでいますが、東京では時給1000円以下のアルバイト求人は全くと言っていいほど見なくなりました。

(私が高校生だった20年以上前、時給650円でコンビニバイトをした経験がありますが・・・)


前置きが長くなりましたが、本題。

M&Aが活発ということで、私が決算支援でお邪魔している企業でも「株式交換」によって子会社化を行っていましたので、株式交換について述べたいと思います。

株式交換とは、子会社とする予定の会社の株式(=子会社)と自社(=親会社)の株式を交換することによって、資金を使うことなくM&Aする手法です。

また、株式交換比率を決めて一律に株を交換することによって、それぞれ相対で買い取り取引するよりもスムーズにM&Aを行うことができます。

株式交換の実務においては、この「株式交換比率の決定」が最重要ポイントになると思われます。

株式交換比率を決める際において、子会社が非上場会社の場合は時価がないため、当該非上場会社の企業価値については外部の専門家による算定を行う必要があります。

企業価値の算定方法としては、DCF法・類似会社比較法・純資産法・配当還元法などの方法があります。

このうち配当還元法は、相続の場合を除いてM&Aの実務上ほとんど使われることはありません。

M&Aの実務においてよく使われるのは、DCF法の単独か、DCF法の類似会社比較法の折衷法です。


株式交換比率の設定には、交換対象の株式を保有する企業や個人(少数株主含む)の意見を重視する必要があります。

子会社の株式保有者にとっては持っている株式が変わるため、適切な交換比率を要求します。と言っても子会社が非上場の場合は株式に時価がないため、親会社である上場企業からM&Aによって株式交換を要求された場合、持っている非上場株式が上場株式と交換されて株式市場で売却が可能となるため、よほどの事情がない限りは歓迎されることでしょう。

子会社の株主が気にするべき点は株式交換によって受贈益課税される可能性ですが、株式交換において現金が交付されない限り、株式交換後も旧株式を保有し続けているのと変わらない扱いとため、課税されることはありません。

株式交換において入手した親会社株式を売却した時、子会社株式の取得原価と親会社株式の売却価額の差額について課税されます。