業務の「属人化」 vs 「組織化」

Hagiyamaです。

先日、経理支援をさせていただいた上場企業の報告会を終えてきました。

私が支援させていただいたのは、経理業務のうち開示資料の作成に関する部分です。

作成した開示資料は、計算書類や有価証券報告書の注記事項が中心でした。

注記事項は一部ワードでの作成もありましたが、その基礎データはエクセルで作成することがほとんどでした。

注記資料の作成にあたって、下記に留意しました。

  • 資料作成のための手続書(マニュアル)を記述する
  • 金額等のデータソース(根拠資料)を明確する、または別sheetにデータとして残す
  • 金額についてエクセルの1つのセル内で加算減算等をする場合、結果のみを入力しない (例:100+100で200の場合、セルには結果の200と直接入力するのではなく、「=100+100」とする)

これらをすることによって、経理の知識や経験があれば誰でも資料の作成が可能となります。

私はこれを「業務の組織化」と呼んでいます。


業務の組織化の反対の概念は、「業務の属人化」です。

「業務が属人化する」とは、業務がある特定の人(1人)にしかわからないような状態を指します。

たとえば、エクセルに詳しい人であればエクセルに複雑なマクロを入れたりすることです。

マクロを入れること自体は否定しないし業務効率化に役に立つのですが、マクロがわからない人からすればそのマクロの入ったエクセルを作成することが難しくなります。

マクロを入れる場合には、手続書(マニュアル)にどういったマクロを入れたか具体的かつ明確にすべきでしょう。

業務が属人化する原因として、その人が自分の存在価値を組織に示したい場合や抱えている仕事を他の人に渡したくないといった場合に発生します。

「自分は組織にとって必要な人間でありこの業務は自分にしかできない」と組織に思われたいがために、複雑なマクロを入力して資料を作成したりします。

業務が属人化しているのは、内部統制を考えるうえで望ましい状態とは言えません。

もしそのマクロ資料を作成した方が病気や何らかの理由で業務ができなくなった場合、その資料を作成しなければならない別の人が途方に暮れることになります。

さらには業務の属人化が深刻な場合、開示のスケジュールに間に合わなくなる可能性があり、結果として組織全体が停滞することに繋がりかねません。

経理業務に関しては、「作成方法が明確になっていて他の誰であってもその業務ができる」ということが理想であり、これが業務が組織化されている状態だと考えています。