大企業と中小企業の会計・監査・内部統制の違い(私見)

Hagiyamaです。

私は会計士新人の頃は大手の監査法人に入所しため、そのクライアントである大企業の会計監査に関与する機会がたくさんありました。

また、独立してからも、幸いなことに大企業に関連する業務を実施させていただく機会があります(独立するとクライアントが中小企業中心となると思っていたため、貴重な経験をさせていただいていると思います)。

今回は、私の考える大企業と中小企業の違いについて述べたいと思います。
(※あくまで「私見」ということをあらかじめご承知おきください)

大企業と中小企業の違い(会計・監査・内部統制など):

  • 大企業の監査は少しお役所的、その一方で、中小企業の監査は人情味があることあり(偏見かもしれませんが)
  • 内部統制(特に内部監査)は大企業のほうが中小企業よりもしっかりしている(当然かもしれませんが)
  • 大企業だからといって決算がすべて正しいとは限らない(これは意外でした)
  • むしろ大企業ほど過去の慣習に捉われることが多く、間違った会計処理を長い間ずっと続けているということが起き易い(上に同じ)
  • 中小企業のほうが会計処理や内部統制、組織上の問題点の対応が柔軟的(かもしれません)

内部監査について、たとえば内部監査部員のリソースや実施状況などは大企業のほうが充実しているため、これは当然のことといえます。

中小企業では内部監査が得てして形骸化しているパターンも見受けられます。たとえば、「社長がとりあえず内部監査にポストを置いておけと言ってたから1人だけ内部監査人を置いた」といったような感じです。中小企業とはいえ1人で内部監査をやるのははっきり言って大変です。

また、大企業の場合、会計監査の過程で仮に重大な会計処理のミスや内部統制上の問題点を発見したとしても、これを現場の経理部担当者の意思だけで変えることができず、上長(最低でも経理部長、場合によっては管理部担当役員)の決裁が必要だったりします。

その場合は当然、経理担当者の仕事が増えて監査が嫌がられる可能性があり、その可能性は大企業のほうが中小企業よりも高くなる気がします。

といっても、大企業でも正義感のある方は(ほとんどの大企業がそうですが)、きちんと監査の対応をしていただけるという実感があります。

その一方で、いくら正論を主張したとしても、「過去からの慣習だから」「手間がかかるから」と見て見ないふりをしたりさらには握りつぶそうとするような組織は、いずれ社会から問題視され必要とされなくなるような危険性があります。ここ数年間で、オリンパス・東芝・日産自動車などが粉飾決算や有価証券報告書虚偽記載、特別背任などで問題となっていた(なっている)のは、ご承知の通りです。

「おかしいことはおかしいとはっきり主張できる組織かどうか」

これはその企業のコンプライアンス順守を測るメルクマール(=基準)であり、大企業も中小企業もまったく同じです。