新収益認識基準における収益認識時点について

Hagiyamaです。

「新収益認識基準」(正確には、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」、および企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」)の最新情報をお送りします。

「新収益認識基準」は2021年4月1日以降に開始する事業年度から原則適用となりますので、収益をどの時点で認識するかについて今まさに悩まれている企業も多いと思います。


私の実感で社、新収益認識基準における収益認識時点について、現在では「みなし着荷」で行うという考え方が主流のように思います。

みなし着荷とは、財の着荷日を出荷日から数日後と看做して売上計上をする考え方です。

(ちなみに財ではなくサービスの提供の場合、当然ながら着荷という概念はないため、みなし着荷基準は使えません)

日本国内であれば、着荷日は出荷日の2~4日になることが予想されます。

みなし着荷日の決定にあたっては、出荷日から着荷日までの実際の日数を集計し、その実績値の平均を取るというのが一つの方法として考えられます。

たとえば、東京から財(=商品)を出荷した場合、長くても本州・四国・九州では2~3日間、北海道・沖縄・離島でも3~4日間で財が着荷すると思われます。

そのため、日本国内での出荷であれば、着荷は出荷の2~4日後と考えても大きなズレは生じないと思われます。

みなし着荷基準で売上計上する方法として、販売システムへのマスタ登録により、出荷先の場所によって出荷登録日より自動的に2~4日後に着荷したと看做して売上計上日を認識することが考えられます。

ただし、定例外取引(契約上、売主の検収が必須となっているようなイレギュラー取引)の場合には、例外的に検収基準を採用するということも考えられます。

(具体的な収益認識時点の方法決定にあたっては、担当会計監査人との合意が必要ですのでご留意ください)


それにしても、日本では今まで収益認識に関して包括的な会計基準がなかったのですが、ここに来てようやく収益の包括的な会計基準が適用となります。

今まで収益の認識時点に関しては会計基準では(ソフトウェアや建設業会計を除き)明文化は無く、財務諸表論でいう「実現主義」だけでここまで来たのですから、会計基準とはどういうものなのか改めて考えさせられます。