Hagiyamaです。
この記事のカテゴリーは仕事論です。つまり、どうすれば会計監査がクライアントから嫌われないのかを考えることで、汎用的にあるべき仕事方法について述べたいと思います。
会計監査は公認会計士の独占業務で、一般的に、会計監査は「つまらない」とか「生産性がない」とよく言われます。
確かに監査には計算チェックや証憑突合、実査・立会・確認などの単純な作業もあり、また監査の結果からは何も生み出していないようにもみえます。
ですが、単純作業というのは、おそらくどんな職業にもある事。
さらには、本当に意味のない仕事であれば淘汰されてとっくになくなっているはずですが、日本に公認会計士制度ができた1948年から70年間余り、会計監査制度は続いています。
私は、会計監査は世の中に無くてはならないものだと思います。
もし会計監査がないとしたら、企業は自分の好きなように決算書を”作成”することができ、そのような決算書は誰からも信頼されないことでしょう。
ひいては証券市場が機能しなくなって資金が滞り、経済活動が滞る。。
・・とまあ当たり前のことを当たり前に話すと少し恥ずかしかったりするのですが、「会計監査には意味があり自分は世の中の役に立っている」と信じて仕事をしないと、やりがい(ひいては生きがい)が生まれません。
また、「会計監査は企業の帳簿をひっくり返す仕事だから企業から嫌われる」とも言われます。
ですが、幸いなことに、私の場合は監査の過程でクライアントから嫌われた経験があまりありません(自画自賛かもしれませんが)
これはなぜかと考えてみると、もし仮に間違った会計処理を発見したとして、それを批判し修正を依頼するだけでは嫌われても当然だと思いますが、間違った会計処理には改善案を提示したりクライアントと一緒になって解決策を考えると、逆に感謝される・・というのがその理由だと思います(これを監査の指導的機能といいます)
私が大手監査法人に勤務していた頃、クライアント批判しかしないような会計士があまりに多いのを見ていて、「これは何かが違う」と思い、自分の場合は批判だけするのでなく指導もする、つまりクライアント側の立場にも立って一緒に考えようと思うようになっていました。
「こうすれば間違った会計処理ではない」
「こうすれば業務の効率化もできる」
「こうすれば社長に怒られない」
クライアントの方と一緒になって色々考えていると、「他人事でなく自分の立場に立って一緒になって考えてくれている」という気持ちが伝わるのだと信じてています。
”間違った会計処理”には、その背景に間違った会計処理をする何かしらの事情がありますので、その背景や事情を突き止めるのが会計士として重要なことだ思います。
批判することは誰にでもできるのですが、「代替案を示して指導ができる」というのは、そのことを理解していないとできない難しいことだと思いますし、そこに仕事の本当の価値があるのだと思います。