IFRS第17号(保険契約)の非保険会社向けイージーな解説

Hagiyamaです。

IFRSの界隈について、最近ではIFRS第9号(金融商品)、IFRS第15号(収益認識)、IFRS第16号(リース)と、立て続けに新しい基準が適用となっています。

これらに続き、IFRSの新基準であるIFRS第17号(保険契約)もそろそろ適用に向けて準備が必要となります。

IFRS第17号は、2021年1月1日以降に開始する事業年度からの適用です。

IFRS第17号は主に保険会社向けの基準ではありますが、保険事業を行っていなくてもこの基準が適用となる可能性がありますので留意が必要です。

ここでは難しいことは抜きにして、ごくごく簡単でイージーな(←重複)解説にしたいと思います。


IFRS第17号は、主に保険会社に適用される基準で、2017年5月18日に公表されました。
ただし保険会社以外の企業であっても、不確実な将来の事象に対して発生する損失につき何らかの保証を与える契約がある場合、このIFRS第17号が適用となる可能性があります。

IFRS第17号は、「保険負債」の測定に関する基準です。

保険負債を簡単にいえば、「保険契約によって将来発生すると見込まれる金銭的負担」のことであり、その例として保険契約者の死亡や火災による損害などによる保険金の支払いが該当します。

保険負債は、主に保険会社のB/S上で負債に計上されるものですが、保険会社でなくても何かを補償する場合には負債計上が必要となります。


この保険負債は、下記のBBA・VFA・PAAの3つのいずれかのモデルにより測定します。

1.BBA(Building Block Approach:ビルディング・ブロック方式) 
2.VFA(Variable Fee Approach:変動手数料方式)
3.PAA(Premium Allocation Approach:保険料配分方式)

この3つのうち、最も基本となるのが、1.のBBAです。
(※これは「ビービーエー」と読みましょう。決して「ババア」と読んではいけません)

ビルディング・ブロックとは「積み木」のことであり、ビルディング・ブロック法をかなり難しく言えば「部分ごとに解析した特性を組み合わせ全体の特性を知る方法」とのことです(weblio辞典より引用)

BBAでは、将来の保険料支出を以下の4つのブロックに分けて、負債額を積み上げていきます。

ブロック1:保険負債の充足に必要な将来CF
ブロック2:将来CFの現在価値
ブロック3:リスク調整
ブロック4:CSM(契約サービス利益)


2.VFAは変動手数料という名前の通り、変動年金などの保険契約に適用されます。

3.PAAは1.のBBAの簡易版で、1年以下の保険契約に適用されます。


IFRS第17号について簡単にまとめますと、

・保険契約における保険負債の測定に関する基準
・測定方法には3つあり、そのうちBBA(ビルディング・ブロック法)が一番基本的な方法

非保険会社としては、とりあえずこの2つだけ押さえて、後はその都度調べていけばよいかとで思います。

IFRS第17号の登場によって、保険負債の測定について単一的な方法が確立できたという半面、既存の様々な保険負債の測定の方法と比べても真新しい方法であるため、適用にあたっては議論が起きることが予想されます。
今後の動向には注目です。