Hagiyamaです。
来たる2019年10月1日から、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられる予定です。
さらに、消費税が導入されてから初めての軽減税率も一緒に導入される予定です。
軽減税率についてはヨーロッパでは主流であり、同じ国内でもモノやサービスによってVAT(=消費税)の税率が全然違うので、日本の軽減税率もそれを真似たのだと思われます。
ここで消費税の歴史などを少々・・
日本の消費税のモデルとなったのは、欧州で主流のVAT(Value Added Tax:付加価値税)です。
VATの根拠は、「モノの販売やサービスの提供には付加価値が発生するためその付加価値に課税する」という考え方です。
VATを世界で初めて導入したのはフランスで、その後、VATは瞬く間にヨーロッパ中に広がりました。
日本では消費税という名前で、1989年(平成元年)に導入されました(奇しくも今回の増税も改元後の元年です)
またVATの呼び方は世界で異なり、マレーシアではSST、インドなどではGSTと呼ばれますが、これらの内容はVATとほぼ同じです。
さて、日本の軽減税率の話に戻り、酒類および外食を除く飲料食品や新聞の定期購読料など、国民にとっての”生活必需品”については、”国民の負担を考え”消費税率が8%に据え置きされる予定です。
ここからは私の主観。。
普通に考えると、消費税の増税が避けられないのならば、中途半端に軽減税率を残さず、全てを10%にすればいいではと思います。
もし消費税の全てが10%であれば計算は楽ですし、軽減税率のためだけの説明の書面を作ったり、さらには軽減税率対応のPOSレジやシステム対応など、小売業者ならずとも全企業において余計で多大なコストもかからないはずです。テイクアウトが可能な飲食店で「店内か持ち帰りかで適用する税率を間違える」といったことも、税率が全て10%であれば起こえり得ません。
こういった企業が負担する投資コストは、結果としてその製品や商品、ひいては食料品や飲料品の販売価格にも転嫁されることになるでしょう。
国民生活を考えて軽減税率を適用しているのに、その結果として軽減税率以上にモノやサービスの値段が上がってしまうという、まさに本末転倒な結果になりかねません。
ではなぜ、一部のものについて中途半端に税率8%部分を残すのでしょうか?
これは政治的な理由であることは明らかです。
軽減税率を導入することによるメリットとデメリットを比べると、コスト負担の観点ではデメリットのほうがメリットを遥かに上回ります。そもそも軽減税率を導入する意義が「国民の負担を考えて」という理由なのであれば、消費税を10%に上げなければいいだけの話なのでは・・論理矛盾。
政治的な理由については、ここで深く述べることはしません(これは原発をどうするかという議論と同じです)
また、消費税が8%と10%が並列することにより、税理士の業務は増加します。
税制が複雑になればなるほど税理士業務の需要は増えるのですが、これが本当に意義のある業務量の増加なのか、私にはわかりません。
GST導入前のインド間接税に見られたような複雑怪奇な税制は、外国から見ると魅力的な投資対象とされず、結果として投資の減少を招く結果となります。
消費税制が複雑化することによる日本へのFDI(直接投資)の減少の影響額は、測ることは出来るのでしょうか。。
将来において消費税がさらに増税される時(何年後なのかはまだわかりませんが)、軽減税率は撤廃すべきだと思います。