現在の公認会計士のキャリアプラン(古巣の監査法人訪問を経て)

Hagiyamaです。

先日、私の古巣だった大手監査法人を訪問する機会がありました。

最新のセキュリティシステムを通り、ゴージャスな受付を経て、中に豪華なカフェテリアまで…

最近場所を移転したというのもあり、名前は当時とほとんど同じでも、まるで別の監査法人にいるような気持ちになりました。複雑な気持ちです。


もし私が今の時代に会計士試験合格直後の新人時代に戻れるとしたら、どこにつ勤めるか・・・

就職先として、おそらく大手の監査法人は選ばず、国際税務や組織再編税制などの特化型の税務業務が経験できる税理士法人や、M&A専門のコンサルティング企業に勤めていると思います。

ただしこれは、十数年前の自分の選択が間違っていたという意味ではありません。

現在は当時と比べると時代の移り変わりを感じます。

大手監査法人では、所属する部門にもよりますが、仕事内容が監査のみに偏りがちです。

ですが十数年前とは違い、「公認会計士は会計監査だけやっていれば食べていける」という時代は確実に終わりました。監査を担当する現場スタッフも、十数年前の当時はほとんどが会計士資格のみで構成されていましたが、現在では人手不足の影響で会計士資格が無い方も多く関与しています。

さらに、大手監査法人で得られる会計監査の経験は中小規模の監査法人でも得られることができる上、中小規模の監査法人の場合は税務やコンサル業務など、会計監査以外の経験もできる機会が多くあります。


また、会計士新人で一般上場企業に勤務したり、ファンドやIPO企業などに就職するというのも選択肢として全然ありだと思います。

その場合、会計士は最初、大手監査法人に勤める人が多い中で監査法人以外の選択肢を取るというだけで、「会計士の中では」経歴がかなり特殊になります(実務補習所でもきっと注目の的となるでしょう)

「(会計士だけど)監査を一度もしたことがない」というのが、逆に会計士のステータスになるという日が来るのかもしれません。


思うに、「会計士試験の合格後、大手の監査法人に就職する」というのは、個性から没個性へと変化する行為だと思っています。

会計士試験を勉強していた時は他の友人からすれば変わっていてレアな存在だったのに、試験に合格した後になると、会計士の中ではマジョリティ(=大多数)の大手監査法人に勤めるという。

もちろん、大手の監査法人に勤務することが自分のキャリアプランにとって欠かせないのであればそれは良いことなのですが、もし何も考えずに大手監査法人に勤めることを決めているとすれば、「会計士試験の合格が人生のゴール」と思われても仕方ないかもしれません。

言うまでもなく、試験の合格はゴールではなくスタートです。「最初は大手」と大多数の周りに流されるのではなく、自身の今後のキャリアプランを描きながら就職先を決めるようにしたいものです。