鳥の目で俯瞰的に物事を考える(外資系企業の税務業務からの学び)

Hagiyamaです。

今回の記事は仕事論です。

タイトルには「外資系~」とありますが、気付いたきっかけが外資系企業の仕事をしている時だったというだけで、外資系でなくとも一般的に言える話です。

 

いきなりですが、次の私が描いた絵(?)をご覧ください。何に見えるでしょうか?この絵は三角のテントのような立体をしています。
(数学的に言えば三角柱で、三角柱の側面を地面につけ横に寝かせた形です)

この立体を、下記の3つの視点で見る場合を想定します。

  • ①上から見た視点
  • ②正面から見た視点
  • ③横から見た視点

 

①~③の視点からこの物体を見ると、冒頭のような三角柱の形ではなく、それぞれ下記のように見えます。

 

①は真ん中に線の入った四角形、②は三角形、③は長方形に見えます。さらに、形の見え方は立体ではなく平面となりました。

このように、物体は見る場所によって見え方がそれぞれ全く異なります

 

この物体の全体像は冒頭の通り三角柱であり立体なので、①~③のいずれの見方も、この物体の平面的な部分しか捉えておらず、この物体の全体像を正確に表しているとは言えません。

もし仮に飛ぶ鳥のように空からこの物体の周りをぐるっと廻って見た場合、つまりこの物を俯瞰的・鳥瞰的に見た場合には、三角のテントのような形をしているとわかるはずです。

 

この考え方を私の普段実施している税理士としての税務業務に置き換えます。

税務業務には、下記①~③の立場について、3人の登場者がそれぞれの視点を持っています。

  • ①税理士としての立場(自分)
  • ②顧問先企業(依頼者)としての立場※
  • ③税務署としての立場

(※②について外資系企業の場合、さらに「日本子会社の立場」と「海外親会社の立場」に細分化されます)

 

この3人の登場者は、それぞれこのように考えます。

  • ①税理士(自分)としては、「税務リスクを避けたい」
  • ②顧問先としては、「税金をなるべく減らしたい」(さらに日本子会社の立場からは、海外親会社の顔向けできるような税金計算としたい)
  • ③税務署としては、「税金をなるべく取りたい(公平に)」

これがそれぞれの立場における考え方です。まさに三者三様です。

 

税理士として取るべき考え方や行動は、自分を含む3者間の折衷案であるべきです。

ですが、自分だけの立場、つまり「税務リスクを避けたい」という税理士の立場だけで物事を考えてしまうと、後でトラブルの原因となります。(例えば、とある税務手続について、顧問先や税務署に要否を確認せず自分だけで勝手にこの税務手続は不要と判断するなど・・)

全体像が見えておらず自分の見えている景色や情報だけで一方的に物事を判断すると、冒頭のように本来は三角柱なのに四角形と判断してしまったように、満足の得られる仕事はできません。

 

ここで全体を考え、顧問先企業や税務署の立場を想像して物事を判断すると、

  • 「顧問先は自分(税理士)に対してどのような希望や期待を持っているか?」
  • 「税務署の立場だとこの税務処理をどう判断するか?」

(外資系企業の場合はさらに、「この税務処理を日本子会社でした場合に、海外の親会社はどう判断するか?」という考慮が加わります)

 

さらには冒頭の物体について、①~③とは全く違う次元の、上・正面・横・空以外に視野をもっと広げ、地中からこの物体を見た場合の見方もあるかもしれません。

もしかしたら、三角テントの張られている地面の中には、根が深く張られているかもしれません(下記の④図参照)

地面から見た図(相変わらずひどい絵ですね、イカとかクラゲみたい・・)

 

今回は、私の描いた園児のお絵かきレベル以下の絵とともにお届けしました。

以上をまとめると、この2点に集約されます。

  • 物事を鳥の目で俯瞰的に見ることで、全体像を把握する(=次元を超え、視野を広く持つ)
  • 相手の立場に立ち、相手の考えや視点を想像して物事を判断する(裏を返せば、自分の立場や視点だけで物事を判断しない)

これが完全にできる人は少ないのではと思います(私も含め)。

これらを実践するように心がけると、余計なトラブルが避けられ、物事をスムーズに進められるような気がします。