Hagiyamaです。
連結納税制度が変わろうとしています。
その変更とは、今までは親会社が一括して取りまとめしていた税務申告と納税について、変更後は各子会社が単独で税務申告と納税を行うよう政府機関の税制調査会において検討されているようです。
弊所で会計コンサルを提供している企業のうち連結納税制度を採用している企業がありますが、連結納税について次のような不満を聞いたことがあります。
- 全体計算のやり直しが頻繁に必要となる
- 子会社への個別帰属額の計算結果の連絡が面倒
- 子会社側では親会社に対する法人税個別帰属額を精算(親会社に対する支払または回収)するのみなので、税金計算の結果について国税庁(国)を相手にしているという意識が薄く、ミスが起きやすい
- 連結納税システムの利用料が高い
- 税理士報酬が単体納税の場合と比べて高い
特に、「一社でも連結納税子会社で税額修正があると、また最初から全体計算をし直さなければならないし、そのたびに個別帰属額を計算し直して各子会社に連絡する必要がある」という不満は大きいようです。
決算期末後の会計監査によって決算の修正があると、修正のあった会社だけでなく、監査修正とは無関係な子会社も含めて全社的に税額が変わります。
つまり、親会社と連結納税の対象としている全ての子会社の決算が確定しない限り、連結納税額も確定しないということになります。
連結納税制度では連結会社間の赤字と黒字を相殺できるため、それぞれが単体納税する場合と比べて税負担が軽くなりますが、一方その分だけ親会社の事務負担も大きくなります。
また、連結納税制度の子会社からすると、税金(法人税)を国に納付しているという意識が薄くなるという点も問題としてあるのかもしれません(連結納税では子会社の税金は親会社に支払うため)。
この変更が確定すれば各子会社が国に申告と納税を行うことになるため、子会社において税額計算ミスをしないよう気を付けなければならないという意識も芽生えると予想されます。