税務で使用する英単語(米国税務との比較など)と英語の余談

Hagiyamaです。

弊社の外資系企業顧客からのご要望で、海外親会社のために日本語の税務申告書を英語に翻訳する業務を行いました。

申告書の翻訳については、現在どの税務ソフトでも対応していないそうです(「そんなご要望や需要は他に無い」との税務ソフト会社の営業担当からのご回答)

なので、申告書の翻訳作業は全部手作業でした。

 

下記では、申告書の翻訳作業や外資税務でよく登場するような「税務関係の英単語」について挙げます。

税務関係の英単語

日本語 英語 参考(米国税務との比較、覚え方など主観)
税務申告書 Tax return 米国では主に税金を還付するために申告書を提出するのでreturn(税金還付書)と呼ばれています
法人税 CIT (Corporate Income Tax) 日本では法人税法と所得税法は明確に区別されていますが、米国含む海外では所得税法の中に法人と個人に関する記載あることが多いため、法人であってもIncome tax 「法人所得税」と呼ばれます
消費税 JCT (Japan Consumption Tax) 他にVAT (Value Added Tax:付加価値税)やGST(Good and Service Tax:売上税)という呼び方もあり(余談ですが、インドのGST制度は複雑怪奇です・・)
課税所得 Taxable income
加算 Addition add(加える)の名詞形
減算 Deduction deduct(減らす)の名詞形
別表 Schedule / Form 米国駐在員はForm 1040(個人所得税申告書)をIRS(国税庁)に提出する必要があります
欠損金 NOL(Net Operating Loss) 米国では2018年のトランプ税制改正により欠損金は無期限繰越・80%使用上限となりました。
寄附金 Donation Hair donation(ヘア・ドネーション:髪の寄付)はほぼ日本語にもなっていますね
交際費 Entertainment expense entertainは「楽しませる」、ちなみにentertainment parkは遊園地
贈与 Gift
相続税 Inheritance tax / Estate tax estateは不動産以外にも「遺産」という意味もあり。Estate taxは米国での呼び方で連邦相続税と呼ばれます。
否認(される) denied / disallowed
認容(される) permitted /allowed
(住民税)均等割 per capita tax per capitaは「一人当たり、頭割り」の意
法定調書 Information return 「return(=申告)に関する情報提供書」という意味です
源泉税 WHT (Withholding Tax) withholdは「天引き」、with(一緒に)hold(掴む)というニュアンスでしょうか
パススルー課税 pass thru (taxation) 「法人格には課税せず、個人や法人構成員に課税する」という考え方で、米国ではPartnershipやS corporationで一般的です。日本ではLLP(有限責任事業組合)などでのみ採用されています

 

今回の翻訳業務で納品した法人税確定申告書の一部サンプル(成果物のうち別表四のみ抜粋)は下記です。

CIT Tax return and computation for web sample (クリックで表示)

 

英語に関する余談

ちなみに、ここからは英語に関する余談というか私の完全なる主観ですが、、

同業者の知り合いや後輩から「仕事で英語は必要ですか?」という質問をたまに受けます。

これに対する私の答えは、「英語をやりたいと思わなければ必要ないけど、仕事も含めて視野を広げるなら絶対に必要」です。ありきたりな答えかもしれませんが。

 

私は20代のサラリーマン会計士時代、国内業務部門に所属しており仕事で英語を使う場面はほとんどありませんでした。

これではまずい生き残れないと考え英語の業務に携わるようになったのは、サラリーマンをやめ独立した後。

海外留学に2回行ったり、外資系企業や海外出張業務を積極的にやるようになりました。

日本人に英語アレルギーが多いと言われる理由としてよく挙げられるのは、

「日本語と英語では使う文字や文法など、言語の性質そのものが違うから」

というものです。

私はこの理由には懐疑的で、「英語を話す人も日本語を話す人も同じ人間である以上は見た目も体のつくりも基本部分は同じだし、人としての生活様式(起きてご飯食べて仕事や勉強や家事などしてたまに遊んで寝る等)もほとんど同じなので、英語も日本語も普段から伝えたいことはあまり変わらない」と考えています。
”人間とは姿かたちも生活様式も全く違うネコと話すためにネコ語を学べ!”というものでもありませんし(個人的にはネコ語を話せるようになりたいととても思いますが・・)

 

私の考える日本人が英語苦手と言われる最も大きな理由は、

「日本では英語を使わなくても生きていける環境にある」という点にあると思っています。

 

私が留学したとある発展途上国は、「英語が話せないと生きていけない」、つまり自国だけでなく外国相手の仕事をしなければ生きていけない国と言われています。

そういった国の人々は、生きていくために英語を勉強します。

それに比べて、日本はヒジョーに豊かな国。

日本は何千兆もの借金大国だの少子高齢化だの公的年金破綻寸前だの政治が腐敗しているなどいろいろと言われますが、日本のGDP(国民総生産:国内算出付加価値の総額)は世界第3位の経済大国。日本は発展途上国と比べてかなり恵まれていることは紛れもない事実です。

そんな日本で英語必須な外国や外国人相手の仕事をわざわざしなくても、日本語の通じる日本企業や日本人相手の仕事だけでも十二分に生きていける環境にあります。

 

つまることろ、日本人が英語苦手と言われる理由は、「豊かな日本では英語を使わなくても生きていける環境にあるので、わざわざ苦労して英語を勉強しようと考えるモチベーションがない」ということになるのではと思ってます。

英語が話せれば偉いというわけではありませんし、英語が使えなくても日本では十二分に生きていけます。

ただもし英語や外国語が使えたとすれば、日本の外にある色んな文化に触れることができて視野が広がって、結果として人間性が豊かになると思っています。