リファード・ワークあれこれ

Hagiyamaです。

今回は「リファード・ワーク」について述べます。

リファード(referred)とはなかなか聞き慣れない言葉ですが、referのもともとの意味は「言及・参照」という意味で、会計監査業界でいうリファード・ワーク(referred work)とは、ひとことで言えば「外資系企業の監査」のことを指します。

日本は先進国の中でもマーケットが潤沢であり、また海外品に対する購買意欲も強いため、日本には数多くの外資系企業が存在します。

国の統計によると、2018年3月時点で3,266社もの外資系企業が日本に存在します。

【参考:総務省 外資系企業動向調査】
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/gaisikei/index.html

外資系企業の海外にある親会社は、連結財務諸表を作成するためには、日本の外資系企業を含む全世界の子会社の財務諸表を合算する必要があります。

海外親会社の会計監査人はその連結財務諸表の監査をするわけですが、子会社の決算書の監査はその国に所在する現地監査人に監査の依頼をします。

日本の外資系企業を例に出していうならば、海外親会社の監査人は日本の会計税務にも疎く、日本語で書かれている会計伝票や書類も読むことが出来ず、何よりも監査のたびに日本に来るわけにもいきません。

そこで、日本の公認会計士は海外親会社の会計監査人からのリファード(紹介・参照)によって、日本の外資系企業の監査を実施するわけです。

監査の方法として具体的には、日本にある外資系企業の海外親会社の会計監査人から、インストラクション(監査指示書)が送付され、その指示書に基づいて監査を実施します 。

インストラクションは誰でもわかるよう全て英語で書かれており、指示書に基づいたレポートの作成も英語で実施します。(レポートの内容については長くなるので別の記事で述べたいと思います)


私はここ10年くらいこのリファード・ワークの仕事をしていますが、
リファード・ワークを通じてIFRSや米国会計基準についての知識を身に着けました。ついでに英語力も・・

また、外資系企業には純日本企業にはない独特の文化があります。

その全てをここで述べるわけではいきませんが、リファード・ワークの中でも、経営者ディスカッション(監査の過程で必ず実施しなければならない社長インタビュー)が一番大変だと感じます。

また海外の親会社が現地で上場しているか上場していないかによって、このリファード・ワークの難易度が変わってきます。

もちろん、海外親会社が上場しているほうが内容もシビアでスケジュールもタイトであり、非上場の場合は逆に緩くなります。

外資系企業の中には、CFO(最高経理責任者)がいない小規模の企業も多く、その場合は日々の会計仕訳から連結パッケージの作成、日本での税務申告書の作成から日本の会計監査人によるリファード・ワーク対応まで含め、すべて顧問税理士に依頼する場合もあります。

外資系企業が専門家にこういった業務を依頼する場合、IFRSや国際税務、また英語(特にメールやレポートでのライティング)に抵抗のない税理士が選ばれることが多いようです。