IFRS第9号(金融商品)の減損を考える(1)

こんにちは。matsumotoです

令和の時代が始まりましたね。
改元の瞬間というのは、初めて目の当たりにしましたが、
不思議な感覚ですね。
(一応昭和最後の生まれではありますが…昭和から平成の改元時は記憶なし)

みなさんはゴールデンウイークいかがお過ごしでしょうか。
残念ながら、私は平常運転です。

さて、今回はIFRS第9号(金融商品)における、金融商品の減損について取り上げたいと思います。

前回金融商品のお話をしたのはいつだったか…忘れてしまいましたが、
今回は前回のように一般的なお話ではなく、論点を絞ってお話したいと思います。それでは早速始めてゆきましょう。

目次

そもそも金融商品の「減損」とは何を指すものか?

「減損」というと、日本では固定資産の減損損失が浮かぶと思いますが、ここでは固定資産のお話ではありません。日本基準でいうところの「「貸倒引当金」の繰入などがこれに該当します。IFRSで「減損」というと、もちろん固定資産の論点でもあるのですが、金融商品の価値の下落を示すものとしても「減損(impairment loss)」という言葉が用いられていますので、覚えておくと良いでしょう。

「発生損失モデル」と「予想信用損失モデル」

ここでは最初に金融資産の価値の下落を財務諸表に反映させるための基礎となる概念として、「発生損失モデル」と「予想信用損失モデル」という重要な概念がありますので、お話しておきます。

①発生損失モデル
債権を貸し出した時点では貸倒引当金の認識は行わず、実際に履行遅滞や債務不履行など、何らかの信用を損ねる事象が生じた時に貸倒引当金を計上する方法を指します。

②予想信用損失モデル
こちらは、①のように具体的な事象が発生したか否かに拘わらず、将来予想される損失を見積り、債権等の貸出時点から貸倒引当金を計上してしまおうというものです。

IFRSでは②のモデルを採用しています。次に予想信用損失の見積りについてみてゆきましょう。

予想信損失を見積もる「期間」は?

予想信用損失を見積もるといっても、どの程度見積もれば良いのでしょうか?IFRSでは①12か月か②全期間かの2パターンに分けています。

貸出期間が短ければさほど大きな影響にならないかも知れませんが、金額が大きく、貸出期間の長い債券の場合には①と②は雲泥の差です。

従って、①か②かの判断は重要な論点となるのですが、①と②の分かれ目として、IFRS上は、金融商品の信用リスクに応じて3つのステージに分け、当該ステージの区分けに応じて①か②とすることになっていますので、次はこの3ステージについてざっくりみてみましょう。

3つのステージとは?

①ステージⅠ:当初認識時以降に信用リスクの「著しい増大」がない

②ステージⅡ: 当初認識時以降に信用リスクの「著しい増大」がある

③ステージⅢ:履行遅滞など、信用「減損」」が生じている状態

ステージⅠであれば12か月の期間、ステージⅡおよびⅢであれば全期間について予想信用損失を見積もることになります。

上記の通り、ステージⅠかステージⅡ以降かで損失の計上額に大きな差が出ますので、ステージⅠとⅡの判定が大きな論点となりますが、そのためには、信用リスクの「著しい増大」がどのような状態なのかを整理する必要があります。

ただ、こちらについては次回に深堀りしたいと思いますので、今回は上記の3ステージの判定がある、ということまでとしたいと思います。

終わりに

今回は金融商品の各論、減損について取り上げてみました。1度に収まりきらないのはmatsumotoの手際の悪さで恐縮ですが、次回もお付き合い頂ければ幸いです。