金型に係るIFRS第16号(リース)の会計処理

matsumotoです。今回は私が実際に関与していた仕事の中から、
IFRSに関連する事例として、金型の会計処理について少し触れたいと思います。

目次

金型とは

まずは「金型」がなにかというところから。ざっくりいうと、「製品を生産するための金属の型」ということになります。製品の大量生産を想定した場合、製品をその都度一から作成していたのでは大変ですよね。そういうときこそ金型の出番、金型を使用することで一定の品質を保ちながら大量生産が可能となります。

私が実際に関与していたのはとある自動車メーカーなのですが、そこでは様々な車種が製造されており、金型もそれぞれの車種、パーツごとに存在すると伺いました。

なお、金型取引に関しては、登場人物が大きく分けて二者存在します。
一者は自動車という完成品を造るための部品を納入する部品メーカ-、
もう一者は部品メーカーより納入された部品をもとに最終製品を造る者
(ここでは「納入先」と呼ぶことにします)です。

金型に係るIFRSの会計処理

金型は実際にどのような形式で使用されるのでしょうか?整理してみましょう。
(金型を用いて部品を製造、納入する部品メーカ-の立場から考えてみます。)

①金型を納入先から購入する場合(所有権:部品メーカー)

金型を納入先から購入する場合には、金型を有形固定資産の取得として資産計上をし、減価償却を実施するということになります。IFRSにおいてもIAS16号(有形固定資産)に従って資産計上、減価償却という点で日本基準と変わるところはありませんが、耐用年数という点においては、日本では税法上の耐用年数に従って2年で償却するケースが多いところ、IFRSにおいては実際に使用可能な期間を耐用年数とするので、その点においては相違が生じてくるものと思われます。

②金型を納入先から借りる場合(所有権:納入先)

金型を納入先から購入せずに借りるという場合には、IFRS上、それが実質的にIFRS第16号(リース)の適用対象となるかの検討が必要となります(IFRSにおいては契約の法形式に関係なく、実質で判定します)。
リースに該当する場合、貸手(納入先)ではファイナンスリース取引かオペレーティングリース取引に区分して、その区分に応じた処理をします。借手(部品メーカー)は、貸手側の上記区分に関わらず、金型を使用する権利を使用権資産として計上し、リース料債務をリース負債として計上することになります。

終わりに

IFRSでは契約にリースと明記されていなくとも実質に基づく判断が必要となり、金型を用いた取引がリース取引に該当する場合もありますので、ご留意頂ければと存じます。

以上、matsumotoでした。