IPO準備会社の悲哀

Hagiyamaです。

最近の日産事件の話をブログの記事にしていて、過去にIPO準備会社に関与したことを思い出しましたので、記事にしようと思います。

IPO(Initial Public Offering:新規株式公開、いわゆる「株式上場」のこと)は、起業者の一つの夢でもあります。

我々会計士はIPOしたいと考えているIPO準備企業の監査やサポートをする機会が多いのですが、IPOの世界は俗に「千三つ」と言われています。

千三つ(せんみつ)とは、千に3つ、つまり実際に上場できるのは上場準備会社1000社あればそのうちの0.3%、3社ということです。

そんな超狭き門のIPOですが、私が監査法人にいた頃も何社かのIPO準備会社のクライアントが実際に上場されていましたので、やはり何事もチャレンジが大切ということでしょう。


私は社会人の新人として入った監査法人の時から何社かIPO準備会社に関与させていただき(うち1社はインチャージ:現場責任者)、そのうち上場できたクライアントもありましたので、とても幸いだったと思います。

IPO準備会社では大企業と違って組織や内部統制がまだしっかりしていないため、思いもよらないことが普通に起こります。

私がIPO準備会社に携わっていた時、下記のようなことを実際に経験しました(特定を避けるため順不同にしています)

  • 「金庫に置いてあったお金がいつの間にか無くなってた」と報告された
  • 経営者が詐欺師で顧客から集めたファンドに手を付けていた
  • CFOがうつ病になり出社が途切れ途切れになった
  • 会社のベランダで大きな声で叫んでいる人(従業員)がいた
  • 「徹夜で書類を捏造している」と監査法人宛に告発メールが来た

・・・

振り返ってみると覚えていることはなんだかネガティブな話ばかりで、当時は対応にとても苦労した記憶があります。

ですが、新人の時から一人前の公認会計士(要2年間の監査実務経験+最終の三次試験通過)になるまでの間、このような経験をさせていただいたことで、何かを突き詰めて考えるクセがつき、会計士としての職業的懐疑心が育まれたのだとポジティブに考えています(今となってはこうして立派なブログネタにもなっています)。